ミュージカル『アナスタシア』観劇
2023/10/9 ソワレ(東京千秋楽)行ってまいりました〜!
(完全にネタバレ感想なのでご注意ください)
『アナスタシア』自体は子どもの頃アニメ映画を観て、たしかそのとき3周くらいリピートしたので、なにも覚えてないけどわたしのストライクゾーン”ド真ん中”なことはわかってました。
ミュージカルも気になる、チケットとらなきゃ〜と思いつつ、上半期バタバタしていたこともあってうっかりしていたのですが、周りの観た人の高評価におののいて慌ててチケット購入。公演はじまった頃くらいだったので、土日も全然選べる感じでした。
木下さんアーニャと、「エリザベート」のフランツが好きなので田代万里生さん優先でセレクトしたら東京千秋楽になっちゃったという。
シアターオーブは『マイ・フェア・レディ』とか『キンキーブーツ』で行ったことあるはずなんだけど、どちらも2階席だったのかな? 今回1階席後方でしたがかなり見やすかった! シアターオーブなら1階席、おぼえた!!
とにかく前評判を良く聞いたので、始まる前内心「あーちょっと期待値上がりすぎちゃってるなー」と心配してましたが、
なんの問題もなかった
とにかくプリンセスものが好きでドレスにテンションの上がる単純な配点なので、のっけからの重厚で煌びやかで幻のようなロマノフ王朝がもう、もう最高でした。フラッシュの演出とかも「あ〜あの写真!」って感じ。
窓ガラスが割れて革命軍が踏み入ってくる演出も好きでした、今回映像の背景がすごい上手だなと思った。夢まぼろしのロマノフ王朝から一気に目が覚める。社会主義下の民衆の歌も良くて、こういう曲があると王道ミュージカル観に来ました〜! という気分になれました。
2019年にサンクトペテルブルクを旅行したので、背景にエルミタージュや血の上の救世主教会が出てくるとキャッキャしてしまいました。今なかなか旅行しづらい世界情勢になってしまって切ないですね……泣
ディミトリの相葉さん、わたし初めて見ましたが、少し斜に構えた美青年がハマっていると思いました。木下さんも実ははじめてだったんですが、上品さと気の強さのバランスが「えっ好き……」だった。
もう”したたかな青年詐欺師×亡国の皇女”とか100人中300人くらいが好きな組み合わせですよね?? ダンスの練習シーンでわたしも恋に落ちた(このカップリングに対して)
第二幕でさらに幼少期の思い出が追加トッピングされて、これで100人中1000人くらいが好きになっただろと思った。「幾千万の群衆の中」、ストーリーとしても音楽としても名曲〜〜〜!!!
四重奏も良かったし、バレエが入るのもロシアっぽくていいなと思ったんだけど、あそこは「なぜ群舞の白鳥が三羽なんだ」というところに気が持っていかれてしまった……白鳥の湖の群舞は四羽じゃない…………? すごい細かいけど…………
失われた皇帝一家がアーニャの記憶として何度も現れるのが、幽霊や幻影感があって非常によかったです。クライマックスでグレブとアーニャが対峙するところでも、窓の向こうに彼らが映っていて、アナスタシアを暗殺することの歴史上の意味、グレブにとっての意味、みたいなものが垣間見える形だと思いました。
マリア皇太后とグレブが対照的に描かれる終わり方が、”皇女アナスタシア”という伝説、おとぎ話が、本物であることで救われる人と、嘘であることで救われる人の対比になっていて、個人的に一番心に残るシーンでした。
このミュージカルでは亡命したロシア貴族が失われた過去の栄光にすがって生きていく様子が多く描かれているけど、その選択肢を持てた人は少数派で、多くのロシアの人々は革命の嵐に否応なく巻き込まれていく。
その人々にとっては現実を生き延びることが最優先で、きっとこのおとぎ話って”嘘”だし”とるに足らない”ものなんだろう、でもこのおとぎ話に慰められたり夢をみることも悪くないんじゃないのかな……といろいろ考えてしまいました。
大学生のとき、何故かロシアにすごいハマった時期があって、ロシア語とかロシア思想史とかちょっとだけかじったのですが、つかみどころのない国だよね……
わたしのロシアイメージは、「美しい理想と冷酷な現実の間をふわふわとさまよう摩訶不思議な国」という感じで、こういう幻のような伝説、おとぎ話が実に似合う国だなとも思うのです。
東京千秋楽だったこともあってか、カーテンコールでアーニャとディミトリだけもう一度出てきてくれて、サービスでディミトリがアーニャをお姫様だっこしてくれてわたしはキュン死しました、ありがとう、ありがとうございます!!!
今回のキャストも文句なしですが、周囲で評判の高かった海宝ディミトリも観てみたかったな……千秋楽じゃなくもっと早い日にちで観に行けばよかった……
再演や円盤もなんですが大千秋楽のライブ配信とかやってくれないかしら……お待ちしています!